産後ケア対談 第9回 澤穂希さん×松峯センター長

澤穂希さんと産後ケア・東峯サライ
元サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)のエースとして知られ、今年1月に第一子となる女の子を出産された澤穂希さん。
今回は、澤さんの出産を機に、実家のお母さんが股関節の手術に踏み切ったエピソード、また、里帰りせずに産後1~2か月を乗り切った澤さんが、「周囲の人たちに甘えることも大事」と気づいた心境の変化についてお聞きしました。
「孫といっぱい遊びたいから」と、母が股関節の手術を受けることを決意。
母の入院中は、東峯サライでお世話になったり、周囲の人たちの厚意に甘えて乗り切りました
松峯 近年、35~40歳で初めての出産をする人が増えています。これまで仕事優先でキャリアを積んできたママたちは「育児中心の産後の生活がつらい」と、ギャップを感じてしまうケースも少なくないんです。長年アスリートとして活躍してきた澤さんとしては、そのあたりはいかがですか?
澤 今や子ども中心で、確かに生活スタイルがガラッと変わりました。でも、私、「現役時代に自分の好きなことをとことんやり切った」という気持ちが大きいんです。サッカーは今も大好きですけど、現役を続けたいと未練を残すことはまったくなくて。むしろ「やり切った」と思うからこそ、産後の育児に集中できている気がします。「引退後は子どもを産み育てたい」と、ずっと思い続けていましたし。
松峯 引退後の願いが叶って、今は“子育て”中心の生活が新鮮に思える、ということね。
澤 はい。もう新鮮すぎて! わが子の日々の変化に感動しまくっています。
松峯 澤さんのところはご主人のサポートが素晴らしいけれど、ほかにも手助けしてくれる人を前もって確保しましたか? 今回、東峯サライの“宿泊型産後ケア”も利用していただきましたけど。
澤 ちょうど私の母が股関節の手術を受けたこともあり、今回は里帰りしなかったんです。でも、東峯サライで“産後ケア”を受けて、助産師さんに赤ちゃんのお世話の仕方を1から教わることができて、本当に助かりました。それに、以前所属していたチームのサポートスタッフが仙台の自宅に手伝いに来てくれたり。いろんな人たちにサポートしてもらえたおかげで、“孤独な育児”に陥ることはなかったかな。
松峯 実家のお母さん、術後の経過はいかがですか? 澤さんの出産を通して、何か変化はありましたか?
澤 回、孫が生まれたことによって「いつまでも元気で歩けるように、手術を受ける」と決心してくれました。「この子といっぱい遊びたいから!」って。赤ちゃんのパワーって、すごいな~!って思いました。以前は「足が痛いから」と運動しなかった母が、リハビリするうちにやせたんですよ。気持ちにも張りができて、若返った感じです。
松峯 素晴らしい! 親孝行できましたね!
澤 はい。母の経過が落ち着いたら、仙台に来てくれることになっていて、「早く行きたいわ」って、ずっと言っています。なので、甘えられるときに、甘えさせてもらおうかなと(笑)。
松峯 赤ちゃんって、周囲の人を吸引する力があるのよね。それに乗っかってしまうのがいいですよ。
澤 そうですね。私、もともとは人に甘えるのが得意ではなかったんですが、今は周囲の力を借りないと、やっていけないので。めいいっぱい周囲に甘えています(笑)。こんな経験ができたのも出産のおかげですね。
松峯 いいことよ。“甘えられる”というのは強みになるのよ。周囲のサポートに甘えることで、ママの産後の負担を軽減し、育児を楽しむことにつながっていくんですよ。
次回につづく